この写真はアメリカネムノキです。英名 raintree 学名 samanea saman
チェンマイでは、至る所で見る事が出来ます。ちなみにこの写真は僕の仕事場
から撮りました。
日立のCM(この木何の気〜)でもお馴染みの木なのですが、この大きな木に
染料で使うラックが巣を作ります。ラックというのは、赤い染料に昔から使われて
いるカイガラムシの巣なのですが、染色用語ではラックダイでお馴染みですが、
それはラックとダイ(染める)が合わさった呼び方で、実際にはその材料は
ラックカイガラムシが出す樹脂状の分泌物で、専門用語でスティックラック
やらセラックと呼ばれているものです。
楽器・家具の塗料、ヘアーラッカー(化粧品)、医薬・健康食品錠剤のコ−ティング、
チョコレート、ガムなどの菓子のコーティング、マニキュア、口紅など日常の色々な
場所で使われています。
ラック虫は寄生して樹脂を分泌するのですが、樹齢5年以上でラックの栽培が
可能になるらしいです。
栽培の方法ですが、ラック虫の寄生している枝をココナッツの葉で包み、
母樹に吊してやります。
すると孵化(ふか)したラック虫は母樹にはい出してきて樹液を吸い、
樹脂物質を分泌しながら2〜3ヶ月間に数回脱皮して成虫になります。
オスは交尾後に死んでしまいますがメスは成長を続けて多量の樹脂を分泌し
、産卵して一生を終えます。
タイでは11月頃が収穫時期で、その時に収穫して染めた場合は、まだ酸化して
ませんので、本当に鮮やかな赤色に染めることが出来るのではないかと思い、
今年は是非、挑戦してみようと思います。
モモタマナの葉も樹皮も水に二晩じっくり漬けて色素を染み出させました。
服を染めてみると、やはりそれぞれ色は違いました。葉の方が黄色が強く、
樹皮の方はベージュっぽい感じです。染めに関してもムラがほとんどなく、
尚且つ染まりが良く、常温でも十分に染まります。特にミョウバンとの相性が良く、
何度も染めると、すごく鮮やかな黄色が得られるのですが、服の状態では
着て貰えない気がしたので、今回はレモンイエローで留めておいて、他にも
媒染に石灰を加えて彩度を抑えたクリームイエローなどに仕上げました。
今回染色をして学んだ事は、自然から出た色というのはどれも意味があり、
確かに好き嫌いはありますが、どの色も素敵な色に違いはないという事です。
以前は、どの材料を使うのか、媒染に何を使うかで色は決まると信じていたの
ですが、実際には材料の鮮度、収穫時期、染める回数やシチュエーションなど、
本当に様々な条件でも色は変わります。
その時染めた色は、その時にしか出せないと言っても過言ではないかもしれません。
自然に逆らわず結果を受け入れ、その恵みに感謝するのが一番ですね。

今回の染めではモモタマナを使いました。英名 wild almond
科名 シクンシ科モモタマナ属 学名 Terminalia catappa
日本でも琉球列島、小笠原諸島に自生している木です。
沖縄のモモタマナの葉を使ったお茶などもあり、その薬草効果なども証明
されています。
モモタマナを染めるにあたって、樹皮と葉を別々に染める事にしました。
丁度タイの今の時期が雨季という事もあり、樹皮もとっても簡単に手で裂く
事が出来ました。葉に関しても、今回は手で細かくちぎってみました。
こうゆうのは、本当に単純作業なのですが、樹皮を観察したり、葉を観察
してみたりすると、自然の造形のすばらしさに改めて感動します。
得に、一部としてまったく同じ場所はないというのは当たり前なのですが
すごいなぁと感じますし、そんな材料を使って服を作れるのはきっと十分意味が
あると確信出来る時間でもあります。
でも作業自体はやっぱり大変ですよ〜。


今回の染色では、アクセンヤクノキの心材を使いました。
英名 cutch 学名 acasia catechu です。
材料自体はマーケットで手に入れたのですが、練った棒状で売られていて、
とても硬いので、どうやって練られたのか、すごく不思議だったのですが、
水に浸けると、少しずつ溶け始め、最終的には全部水に溶けてしまいました。
今回も前回同様に、石で出来た鉢で細かくすり潰した後に、二重の袋に入れ、
不純物をろ過した後に、再度ガーゼ布で濾しました。
ちなみに、タイでの使われ方ですが、田舎のお婆ちゃんが、日本で言うお歯黒
の様な目的で使います。
水に溶かした状態では、赤茶色でチョコレートの様な色なのですが、服を染めた
状態ではベージュ色という感じの色に仕上がりました。


天然の素材を使った染色では、ミョウバンが活躍します。
その殺菌効果と色止め効果は優れていて、主に精錬と色止めという、最初と
最後に使われる事が多いです。
日本では茄子の紫色の色素を保つのに使われたり、ウニの崩れ防止・保存の
ための添加物としても使用されたりしますが、タイでは腋の制汗・防臭剤として
今でも家庭によっては使われているみたいです。
今回のラックを使った綿の後染め染色の場合ですと、最初に服を洗濯した後、
それらを一晩ミョウバンに浸します。また染色中にも媒染として使ったところ、
色の発色が良くなる事も発見しました。ラックの色素とタマリンドのクエン酸と
ミョウバンのアルミ二ウムが反応した結果だと思います。
また最終的には色止めとして、もう一度ミョウバンに浸し、水で洗い流します。
染色には欠かせない材料の一つです。