僕の大切な仕事の一つは、服のデザインを考える事です。以前はきちんと
デザイン画なるものを描いていたのですが、それだと時間が掛かってしまって
襟や袖など、部分のデザインを換えた場合のイメージなどが掴みづらく、
現在では、簡単にデザイン画を描く方法を採っています。
その様に何十枚か描いた中から幾つか選んで実際に布を使ってパターンを
作って行くのですが、布を使う段階でまたデザインが二転三転する事もあり
ますが、その何が出来上がるのかが判らないのが、僕の試練といいますか、
頑張り処であります。実際に布を扱う段階で、改善点やアイデアが見つかったり
逆にデザイン画よりも立体では、つまらない感じだったりする発見があるからです。
外出から帰宅し、駐車場のコンクリートを見ると、何だか真っ赤な物体に
虫がたむろしているので、きっとカエルの卵だと思い、その場はホースを使って
片付けたのですが、次の朝にもまた同じ物体が同じ場所に落ちていました。
よく見ると、卵ではなくて植物の果実でした。
昨日見たときは夜でしたので、てっきりそうだと思い込んだのですが、隣の方の
敷地との境の壁から「タムルーング」という植物がこっちまで延びていたのでした。
この果実は食べたりはしないらしいのですが、その新芽はスープに入れたりする
との事です。
この果実、ヒトは食べないのですが鳥や虫は食べているので、なぜみんな食べない
のか気になるところですが、僕は試しに食べる勇気はありませんが、その自然が
作り出す色にはいつも感動します。
鳥が食べる事によって、その種が別の場所で育っていくシステムが自然に存在して
いるんでしょうね。
当たり前の話なのですが、平織りの生地は縦糸と横糸から成っています。
縦糸はその本数で密度が決まるのですが、横糸は織り手の筬の打ち込み加減で
密度が決まります。もちろん密度が高くなると、丈夫で厚く硬い生地に仕上がりますし、
密度が低いと、繊細で薄くやわらかい生地に仕上がります。
僕自身は、石橋を叩いて壊す位慎重な性格だったので、繊細な生地を使うのは
躊躇したのですが、やはりそのような生地は別の魅力があり、生地を見るだけで、
色々なデザインが浮かんできました。
いつも不思議に思うのは、生地からデザインが浮かぶ事です。逆に言えは、一番
正しい方法なのかもしれません。
僕が扱っている生地はすべて平織りで、素材自体も、綿、麻、絹ぐらいですが、
それでも一つ一つ生地の表情が違い、それぞれに合った自然なデザインがあります。
前回「北タイで藍染め。」で紹介した場所で染められた薄地のバイアスシャツです。
この場所での藍染めは、マメ科であるインド藍とタデ科のホームを混ぜ合わせ
て染めるという手法でなされています。
確かに科が違うもの同士ですが、藍の色素であるインジゴは同じで、藍染めの
方法は藍の葉を水槽に入れ、重石をして水中に色素の元が溶出するのを待ち、
石灰を入れてかき混ぜ、加水分解を起こして藍の色素が沈殿する方法です。
その泥状の藍を使った泥藍がタイの藍染めです。
日本では沖縄などがその方法で染められています。
タイの東北地方ではマメ科のインド藍を使うのですが、北タイでは日陰の湿度の
高い場所を好むタデ科のホームの栽培も可能なので、そういった事が可能なの
だと思います。